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ヤマビル
ヤマビル(ヤマヒル、山蛭、Haemadipsa zeylanica japonica Whitman)は陸生のヒルとして知られ、 山野で大型ほ乳類を攻撃する。ヒトにもよく着くので非常に嫌われる。
体長は25-35mmで伸び縮みが激しく、倍くらいまで伸びる。 近年発生が多い神奈川県の報告書によると、弾力に富み、且つ丈夫で、引っ張ってもちぎれず、 踏んでもつぶれないと表現されるほどである。

生息地と生態
日本では岩手・秋田県以南の本州から四国、九州に分布する。また周辺島嶼では佐渡島、金華山、淡路島、それに屋久島が知られる。ただし神奈川県の調査報告によると、四国は分布域とされているが、確実な情報がないという。国外では中国の雲南省も生息域として知られる。
原名亜種は熱帯域に広く分布するものである。また、シカの生息範囲の広がりとともにシカがヤマビルをつけたまま人里に出没するようになり、人家周辺でもヤマビルによる吸血被害事例が増えている。
ヤマビルとシカは深い関係があり、シカの蹄間は吸血しやすく同じ箇所を何度も吸血することで瘤条の穴ができてヤマビルが半寄生状態となっている場合もある。
ヤマビルは落ち葉の下など湿度の高いところに生息し、5月~10月頃の雨上がりや高温多湿時に活発に活動し、吸血から1ヶ月で産卵し、さらに1ヶ月後に幼虫が孵化する。
ヤマビルは、3㎝から5㎝程で体の前と後ろに吸盤があり、前吸盤にあるセンサーで吸血する動物の振動・熱・呼気・臭い等を探索しながら尺取り虫のように移動します。
前吸盤の唇には細かい歯があり、歯で皮膚を切り裂いて血を吸う。 被害部位は足が多く、ヒルは吸血時に血液が固まりにくくするヒルジンという物質や吸血時に痛みを感じさせないモルヒネのような物質を出したりするため、吸血されていても気がつかなかったり、吸血された跡が数時間も血が止まらなかったりする。
このため、吸血中のヒルを発見した場合は無理に剥離すと傷口が大きくなるので、ヒルが離れるようにヒルの忌避剤やタバコの火を当てると傷口も小さく出血やかゆみも少なくて済み、ヤマビルの吸血跡から細菌が入って感染症になったり、吸血跡のかゆみが長期間続く場合があるので注意が必要。
症状
一回の吸血量は、2-3mlである。ただしその後も出血するので失血量はそれよりやや多くなる。
咬まれてもヒルの唾液には麻酔成分が含まれるため、痛みはそれほど感じない。咬まれた痕は丸い小さな傷口になり、血液凝固を阻害するヒルジンにより、しばらくは出血が止まらない。
普通は2時間程度は少しずつ出血が続く。一旦止まっても、入浴などで再び出血することもある。その後も傷の治りは遅い。
皮膚に付いた場合はアルコールが効果的で、近づけただけでも落ちる。
そのほか、火を近づけたり、塩や塩分濃度の高い液体、食酢のような酸性の液体をかけることも効果がある。食塩を入れた布を、ヒルの進行を防ぐような形で足首に巻くという予防法もある。吸血跡は化膿止めをした方がよいとされている。
なお、ヤマビルによって媒介される寄生虫や病原体は知られていない。